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質問・回答例03
質問
<事実経過>
患者:22歳・男性
乳幼児期から皮膚科でアトピー性皮膚炎と診断され、外用剤にて加療を受けてきました。年をとったら治るといわれてきたのに、まったく治らないので外用剤を中止して遠赤外線療法に切り替えました。1週間後より、全身症状が著しく悪化し、他の病院に入院しました。
前医での外用剤が強力なステロイドであること、内服にステロイド散在が長期に含まれていたこと、長期間使用したあとで中止すると離脱症状がでることを初めて知りました。2ヶ月入院して、ステロイドを使用しなくてもよい状態に改善しました。
<質問事項>
1 アトピー性皮膚炎へのステロイド加療上の問題点は何でしょうか?
2 前医には以後一度も受診していませんが、ステロイドについて説明のないまま20年間投薬することに、問題はないのでしょうか?
前医への責任は追及できますか。
回答
以下のコメントがありましたので、ご連絡します。
<A医師(皮膚科医)のコメント>
外用ステロイドの副作用はステロイド酒さ、皮膚の萎縮、ステロイドざ瘡(にきび)、主剤、基材による接触性皮膚炎(かぶれ)の他、長期連用で特に顕著となる薬剤の効き目が弱くなる減弱効果、使用を中止した際のリバウンド現象である離脱後皮膚炎などがあります。最近増加してきた「成人型アトピー性皮膚炎」の多くは、アトピー性皮膚炎にこれらのステロイド外用剤の副作用であるステロイド依存性の皮膚症が合併した状態といえます。長期間にわたりステロイドの外用が行われると、皮膚がステロイドなしには安定しない状態となり、ステロイド外用中止とともに、皮膚の諸症状が悪化します。ですから、ステロイド外用剤を治療に使用する際には、ことに長期の連用は避け、休薬期間等を設ける等の工夫を行って副作用が発現しないように十分注意することが求められます。
<B弁護士のコメント>
個人的な意見としては、問題があるように思います。
アトピー性皮膚炎に対する治療が問題になった判例は、手元のデータベースで調べた限りでは、東京地裁平成4年5月22日判決(判例時報1467号75頁)がありました。
この判例は、アトピー性皮膚炎の患者にステロイド外用剤を使用したことによりステロイド性皮膚炎に罹患したことにつき、担当医師の治療上の過失を否定しています。
この判例は、「顔面へのステロイド外用剤の処方について使用量五グラム、使用期間一〇日間を目安とし、これ以上の使用は極力避けるとの専門医の見解が存在していることが認められるが、この見解によつても、必ずしもそれ以上の使用が一律に許されないものとは解されないし、右期間を経過後も症状が改善されない場合にはステロイド外用剤の処方を継続することが必要な場合もあることは否定できないから、医師に法的義務として、ステロイド外用剤の処方を使用量五グラム、使用期間一〇日間程度に限定し、以後は非ステロイド外用剤や抗ヒスタミン内服薬の処方によつて治療を行う注意義務があるとまでいうことはできない。さらに、右期間に限定したステロイド外用剤の処方をしない場合は、早期に副作用の発見ができるように、少なくとも一週間に一回程度は来院させて経過観察をしてステロイド外用剤の副作用を生じないようにする注意義務があるとの主張についても、患者の症状には差異があり、また患者の都合によつては通院できない場合も存するし、医師の側で来院を確保する方策もないのであるから、これを医師の注意義務として措定することは妥当ではない。したがつて、医師の注意義務に関する原告の右各主張はいずれも採用することはできない。」としていますが、あなたのケースとは事実関係や医療水準を判断する時点などが異なるかもしれませんので、過失の判断が異なってくるかもしれません。
その他、損害額の計算をどうするかという課題もあるかもしれません。
弁護士に正式に依頼して、いろいろと調査・検討をすることが考えられます。