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手術患者取り違え事故防止ガイドライン |
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1999年 1月11日、横浜市立大学医学部付属病院で、それぞれ心臓と肺の手術をする予定であった2人の男性患者を取り違えて手術し、手術が終わるまで間違いに気がつかなかった、という医療事故 が発生しました。このような手術室における患者取り違え事故としては、これまでにも1992年11月26日、熊本市民病院で肺の手術をする患者と肝臓の手術をする患者が取り違え られ、肝臓の一部を切り取るまで間違いに気がつかなかった、という事故が発生しています。 医療改善ネットワーク(MIネット)(http://www.mi-net.org/)としては、今後2度とこのような事故が発生しないことを願い、手術患者取り違え事故防止ガイドラインを まとめました。全国の医療機関におかれましては、このガイドラインを参考に具体的な事故防止策の策定・改善等を行われるよう期待します。 なお、不十分な点等があれば随時改訂していく予定です。このガイドラインについて各方面からご意見をいただければ幸いです。 |
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1月18日に発表したガイドラインを各方面からのご意見を元に、このたび改訂しました。頂いたご意見の中には、既に素晴らしい対策を講じている施設からのものもありました。例えば、患者の顔写真をカルテに張り付け、取り違え対策に用いている施設、麻酔前投薬下の患者はどのような呼びかけにも「ハイ」と答える可能性があるため、自分で名前を申告してもらう形で確認に利用している施設などがありました。 これらの対策はとても重要なことです。ただ、顔や髪型といった特徴は、手術室でチューブ類が装着されると異なって見えることがあります。また、よく似た患者さんが同時に手術することも考えられます。さらに、全く言葉を発することができない状態もあります。したがって、外見的特徴や自己申告を重要視するとともに、本人を特定するために災害時のトリアージ・タッグ的な認識票を身につけておき、複数の手段で個人を特定できるようにすることが極めて重要なポイントであると思われます また、古くから労災(労働災害)の分野では、「ハインリッヒの法則」というものが語られており、1件の大事故があると、そのまわりに29件の中小の事故があり、さらに300件のニアミスがあると言われています。大事故は突然起こるのではなく、発生する前にその下地がすでにあることが多いと云われております。 本ガイドラインの第1版(1999年1月18日)では「変だと思ったら遠慮なく話せるような関係を作っておく。」、「平素から医療事故防止委員会や安全対策検討委員会のような組織を設け、ニアミス例の報告・周知を進め、再発防止策の検討などを行っておく。」などと記載しましたが、野田正彰氏(京都造形芸術大学、比較文化精神医学)も、「ミスや事故目立つ病院」「安心の基準「風通しの良さ」(日本経済新聞1999年2月13日)において「マニュアルは大前提だが、マニュアルだけでは足りず、民主的な人間関係が重要」と指摘しております。 これらを参考に、一番基本的な氏名、年齢、血液型などが、目の前のこの患者と一致するという「オリジナルデータ」を間違いなく伝達していくための工夫を追加しました。さらに、患者誤認防止のために最低限必要な項目(◎)と、確実性が増すので実施することが好ましい目標項目(○)を分けて記載しました。 |
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◎ |
患者に、取り違え事故防止という目的を説明し、同意を得た上で目印を付ける。 |
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○ |
目印として、市販の識別用バンド(IDバンド)がある。また、テープに氏名、年齢、性別、血液型、所属科名(病棟名)を書いて装着するのもよい。 |
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○ |
装着時には、複数の立ち会いの下で行うことが好ましい。 |
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○ |
患者の顔写真をカルテの表紙などに貼ることも良い方法である。ただし、それだけに頼ることには危険がある。 |
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○ |
オリジナルデータの資料の作成者や、患者の最終認識のためのオリジナルデータに関わった者は、サインと共にその記載をカルテに残す。 |
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○ |
手術患者認識確認のためのチェック項目などを手順の順に一覧にしてカルテに添付しておく。 |
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◎ |
患者とカルテは必ず一緒に移動する。 |
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◎ |
各病院により職位等は異なると思われるが、以下の場合の責任者を決めておく。 |
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(1)患者に認識票を付け、カルテと照合して手術室に搬送する際の責任者。 |
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(2)患者の引継ぎ確認の責任者。病棟看護婦か手術室看護婦か別の者か、責任の所在をハッキリさせる。 |
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(3)患者の最終確認を行い医療行為(手術や麻酔)を開始する際の責任者。 |
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◎ |
患者に、取り違え事故防止という目的を説明し、同意の上で認識票などを付ける。 |
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○ |
患者自身に、個性的な身体的特徴を最低一つ申告してもらい、それをカルテに記載する。 |
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○ |
訪問して患者と顔見知りになる。 |
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○ |
手術日には手術着・帽子着用であることを考え、顔・歯などの特徴も把握しておく。 |
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○ |
訪問結果(外見上の特徴、看護上の注意事項など)を同じチームの他の看護婦にも伝達し、複数の者で患者を確認できるようにしておくことが望ましい。 |
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◎ |
術前診察をして得られた情報(外見的特徴も含む)を、手術時に患者の確認に有効に用いるようにあらかじめ心がける。 |
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◎ |
心電図・胸部X線写真に特徴があれば、それらをカルテに記載しておく。 |
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◎ |
手術日には手術着・帽子着用であることを考え、顔・歯などの特徴も把握しておく。 |
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◎ |
挿管時の抜歯の危険性や挿管の困難などを予測するため、口・首の周りの所見があれば、カルテに記載しておく必要があるが、その資料を患者の確認にも利用する。 |
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◎ |
患者の外見的特徴を把握しておく。 |
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◎ |
認識票などの意義を十分に説明し、可能な限り理解を得る。 |
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◎ |
変だと思ったら遠慮なく話せるような関係を作っておく。 |
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◎ |
病棟で点滴を開始する際、輸液ボトルに氏名と血液型などを記載しておく。 |
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◎ |
一度に複数の患者を搬送しない。 |
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○ |
意識の変性状態にある患者は複数の看護婦で搬送し、引継時にも複数の看護婦で確認する。 |
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◎ |
患者を引き継ぎを行う際に、姓名と年齢を確実に伝え、受け手にそれを復唱してもらって確認する。患者に意識があり自分で名前を言うことが可能な状態の場合は、自分自身で名前を言ってもらう方が確実性が増す。 |
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○ |
患者の申告による特徴がある場合、カルテ記載事項と比較して示しながら、申し送る。 |
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◎ |
以上の確認ができたら患者申し送り書にサインをする。 |
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◎ |
患者の認識票をチェックする。 |
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◎ |
患者を引き継ぎを受ける際に、姓名と年齢を確実に言ってもらい、それを復唱して病棟看護婦の確認を得る。 患者に意識があり自分で名前を言うことが可能な状態の場合、自分自身で名前を言ってもらう方が確実性が増す。 |
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○ |
手術室内へ 搬送する際には、「○○○○(姓と名)さん、昨日伺った○○(手術室看護婦の姓)です。今日の手術中は私がお世話をさせていただきます。よろしくお願いします。」などと、患者の名前を出して呼びかけ、緊張を取るように話しながら、手術日前の把握と同じかどうかを確認する。 |
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○ |
病棟で患者が申告した特徴がある場合、それをカルテと照合する。 |
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○ |
術患者申し送りの場(乗り換えコーナー)に手術予定表などを張り出し、患者を確認するための比較参考資料として利用する。 |
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◎ |
以上の確認ができたら患者申し送り書にサインをする。 |
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○ |
可能ならば、当日朝に自分が麻酔をかける予定の患者を訪問し、患者をリラックスさせる。 その機会に、患者とのコミュニケーションを強化することで、手術室での患者確認がより確実に行われるようにする。 なお、施設の事情に鑑み、前日の回診であっても許容できるものと考えられる。 |
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○ |
可能ならば、乗り換えホール(患者の引継場所)で患者を出迎えて、看護婦の申し送りをそばで確認する。また、手術室看護婦と同様に自己紹介などをしながら、患者のフルネームを確認する。 |
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◎ |
手術室内において患者の顔を見た段階で、自己紹介を兼ねて患者のフルネームを確認する。 患者がコミュニケーションの取れない状態の場合は、特に注意して、看護婦に対する確認や認識票、病棟カルテのチェックなどを行う。 |
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◎ |
麻酔をかける直前に、術前診察時の情報に照らし合わせ、今一度、患者を再確認する。患者の認識票、自己申告の特徴などもチェックする。 |
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○ |
麻酔記録に、患者を確認したことを記載するチェック欄などを設けるのが好ましい。 |
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○ |
麻酔開始は主治医の確認を待ってから行う。 |
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○ |
可能ならば、手術当日の朝に、病棟で手術前の患者を確認する。 |
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○ |
手術部位のマーキングなどを病室で行えば、手術室における患者確認に役立つ。 |
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○ |
患者が病棟を出る際に患者に付き添って手術室へ向かうか、患者より先に手術室に入り、乗り換えコーナーで患者を迎えて共に手術する部屋に入ることが望ましい。 |
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◎ |
主治医又はその代理の者は、手術開始前に手術日以前の診療時の情報に照らして患者を必ず確認する。 |
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◎ |
レントゲン写真やCT等でも患者の名前を再確認するとともに、患者の認識票は自分でもう一度確認する。 |
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◎ |
術前カンファレンス時に知った所見 や診療記録の記載と合致しない点があれば、必ず主治医や手術室看護婦に確認を求める。 |
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◎ |
平素から、間違いに気付いたときに、職種や上下関係とは関係なくそれを指摘できるような職場環境を築く。 |
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◎ |
平素から医療事故防止委員会や安全対策検討委員会のような組織を設け、ニアミス例の報告・周知を進め、再発防止策の検討などを行っておく。そのような不断の努力が大きな事故の防止に貢献するものと考えられる。 |
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