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中畑龍俊専門委員会委員長殿               
ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会御中

                        2002年12月25日(水)

前 略

 「ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会」における「ヒト幹
細胞等を用いる臨床研究に関する指針」審議状況に関して、一般からの意見聴取の
ための指針草案最終稿審議以前(いわゆるパブリック・コメント版作成以前)に再
考いただき、質問に対する回答をいただきたい件がございまして、書面にて申し上
げます。

 12月26日(木)の専門委員会以前に、ファクシミリ等で専門委員会の先生方に
配布いただきました上、26日に開催される専門委員会の席上でもご検討ください。
傍聴される方々にも、参考資料として配布をお願いいたします。

 当方の問題点の指摘に続き、質問状を添えましたので、2003年1月中、パブリッ
ク・コメント版の作成以前にご回答をいただけますよう要望いたします。

 なお、本状は坂口厚生労働大臣および、本件に関心のある国会議員・マスコミ各
社・有識者・関連団体・関心のある個人宛にも写しを配布いたしております。技術
的処理が完了次第インターネットで本文書を公開し、2003年1月には本件につき緊
急集会を開くことを予定いたしております。

以上、よろしくご検討のほど、お願い申し上げます。

草々

民主党・衆議院議員 阿部 知子
                                                        社会民主党・衆議院議員 北川れん子
                                                              社会民主党・参議院議員 福島 瑞穂


中畑龍俊専門委員会委員長殿
ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会御中                                                                             

   2002年12月25日(水)

                                                              社会民主党・衆議院議員 阿部 知子
                                                              社会民主党・衆議院議員 北川れん子
                                                              社会民主党・参議院議員 福島 瑞穂

 以下4件につき、問題点についての当方の認識を以下に述べ、続いて質問状を添
付いたします。2003年1月中、パブリック・コメント版作成以前にご回答をいただ
けますようよろしくお願い申し上げます。

 1.中絶胎児細胞の幹細胞臨床研究への利用について
 2.死者からの細胞採取の際の同意のあり方について
 3.弱者保護・代理同意について
 4.専門委員会の構成について

 なお、本状は国会議員・マスコミ各社他関係者に配布するため、専門性の高い事
柄については文末に注・文献を記載いたしております。

                 記

1.中絶胎児細胞の幹細胞臨床研究への利用について

【規制の現況と基礎研究の展開への懸念】

  中絶胎児細胞の幹細胞臨床研究への利用は、妊娠4か月以上の死胎には死体解剖
 保存法が適用され、12週未満の人工妊娠中絶胎児については、本来は感染性廃棄
 物として廃棄物処理法に従い廃棄されるべきところ、日本産婦人科学会会告が再
 生医学研究を想定した研究利用を禁じない旨の会告追加解説を出していることは
 存じております [1]

  しかしこれは学会の会告であり、現時点で国の指針として臨床研究への利用を
 認めるのは時期尚早です。指針は基礎研究には原則として適用されないため、胎
 児細胞が研究資源として有用と国が認めれば、規制の無い基礎研究に拍車がかか
 ることが予想されます。

【中絶の現場の問題】

  中絶の現場が多くの問題を抱えていることは周知の事実です。産婦人科医を訪
 ねた女性が中絶の意思決定をし、施術を終えるまで、また終えた後も、複雑で微
 妙な心の揺れと精神的ダメージを体験します。そのような女性に研究利用への同
 意を求めること自体が大きな侵襲となります。規制の無い基礎研究の研究事業者
 に産婦人科医が試料を提供することが経済的利益となる状況が生じれば、中絶の
 意思決定に対する誘因となりかねません。

  こうした問題は、再生医学研究が現在ほど注目を浴びてはいなかった過去にお
 いてもなされてきた胎児組織の研究利用全般、研究の規模やインフォームド・コ
 ンセントのあり方、闇取引や金銭授受を伴う受け渡しの有無などについての調査
 がなされない限り、予防策をとることができません。こうした中絶の複雑な現場
 についての実態調査は民間の研究者では難しく、国が主導して初めて可能になる
 ことです。実態調査を行った上で、指針にいかなる規制を盛り込むべきかを検討
 すべきではないでしょうか。

  さらには、臨床研究への応用を考える際、提供者となる女性へのインフォーム
 ド・コンセントは、試料の品質管理を目的として遺伝子解析や感染症歴、既往症、
 家族歴の調査も含んだフォローアップへの同意が求められる可能性もあると聞い
 ております [2] 。これが本当に可能なのかどうか、基礎研究の段階での制度整
 備を十分に行うことを先にすべきで、その体制が整わないうちから臨床研究への
 利用を容認すべきではありません。

【臨床応用の可能性と限界】

  提供の場面での倫理的問題の大きい中絶胎児細胞が、苦しんでいる患者を相当な
 高い確率で救うならば、その可能性を閉じるべきではないという考え方も成立する
 かもしれません。しかし、アメリカでのパーキンソン病の胎児組織移植研究では有
 用性は証明されず [3] 、副作用とみられる症状が問題となり [4] 、研究計画の
 倫理的問題も議論を喚起しました [5] 。スウェーデンでの多数の移植研究も、論
 文をみる限りでは、従来の薬物治療よりも優れた効果をあげたとの証明にはなって
 おりません [6] 。ここ2〜3年の間に一時的な機能回復が観察されたとしても、患
 者の一生を見渡した改善を保証するものではありません。脊椎損傷に関していえば、
 急性期の1週間前後においては有用性が示唆される知見が動物実験で得られている
ものの、数年を経ている患者には無効であると聞いております [7]

【不十分な審議とヒアリング・調査の必要性】

  専門委員会では、幹細胞研究を実施している研究者からの報告の他には、産婦人
 科医から中絶の方法についての報告があり、中絶胎児研究利用の際の同意説明文書
 が参考資料として示され、胎児細胞を用いる研究の現況についての説明はあったも
 のの、起こりうるリスクについての検討は十分なされておりません。また、本年5
 月・6月に国会衆議院文部科学委員会において北川れん子が中絶胎児の研究利用の
 実態について質問した際に、文部科学省・厚生労働省からいただいた回答では、最
 近の再生医学研究数例と、厚生科学研究の1例を把握しているということ以外に実
 情把握についての見解を伺うことはできませんでした [8] 。このように行政側が
 実態把握をほとんど出来ていない状態で、有用性の定かでない臨床研究を国の指針
 において認めるのは、医学研究の体制の不備という意味で国際的共同研究を実施し
 ていく上でも恥ずべきことではないかと考えます。

  欧米諸国では、胎児細胞の移植が中絶を誘引する懸念や、治療材料とすること自
 体への疑念が多くの議論を呼び、数々のガイドラインが作成されてきました。これ
 らのガイドラインは現在のような再生医学の展開よりも前に作られたものであるた
 め上記したようなフォローアップ体制まで想定されていませんが、現時点の日本の
 状況よりは多様な深い議論を経て作成されたことが伺われます。そうした海外で出
 されているガイドラインや欧米での過去の議論についても専門委員会では検討され
 てはおりません。

【専門委員の中での認識の相違】

  さらに決定的なことは、12月12日の委員会において、長沖委員が有識者ヒアリ
 ングの必要性を述べたのに対し、澤委員は、研究利用するのは中絶胎児ではなく自
 然流産した胎児である、と述べていました。しかし委員会において検討されてきた
 のは中絶胎児であり、死産された胎児はむしろ人に移植した場合の危険性から使わ
 ない方向性であるはずです。このような認識の相違がある点のみをとっても議論が
 十分になされたとは言えません。

  以上から、中絶胎児幹細胞を用いる臨床研究を国の指針で容認することは時期早
 尚であり不適切であると考えます。同様の考え方が貴専門委員会の前回会合翌日の
 毎日新聞2002年12月13日社説にも示されており、一般社会の受け止め方を反映
 していると考えます。必要な調査、ヒアリング、国民一般との議論を慎重に行いつ
 つ、中絶胎児のEG細胞が倫理的問題から使用を認められていない事実との整合性を
 はかりつつ、ヒト胚研究などをめぐる議論と同様に、総合科学技術会議で議論すべ
 きものと考えます。ただし、現在の総合科学技術会議生命倫理専門調査会の運営に
 は問題があるため(研究推進の立場にあることが明白な井村裕夫氏が委員長を務め
 ている点など)、運営形態の再考も求められます。

2.死者からの細胞採取の際の同意のあり方について

  指針案では、死者からの細胞採取は生前に拒否していなければ遺族の了承で行え
 るとしています。これも、広範な国民的議論が必要です。日本人の多くは、近親者
 の死に際し、死因と関連する解剖の申し出を受ける場合があることは承知していま
 す。これは死体解剖保存法を根拠に許容される範囲内にあります。しかし、他者に
 移植する研究や、動物実験については多くの人が認識しておらず、これについての
 詳細なインフォームド・コンセントを求められることは、近親者との死別を迎えた
 遺族にとって精神的負担となります。死者からの幹細胞採取のこれまでの実施の実
 態、それが必要不可欠な治療法なのか、専門委員会において十分に示されておりま
 せん。人工皮膚や軟骨など、産業化に向けての展望が語られている現在、死者から
 採取した細胞・組織の産業利用が進むことも懸念されます。

  死者から細胞を採取し、移植研究に利用すること、医薬品の製造を標的とした研
 究を行うことが、死体解剖保存法の範囲内にある研究と言えるのかどうか、国民的
 な議論を要します。議員立法による臓器移植法においては、本人の明示的な意思表
 示と、遺族が拒否しないという二重のバリアを設けることで、脳死となりつつある
 人を不確実な脳死判定から守るという選択を日本国民は行ったにもかかわらず、臓
 器移植法の運用指針はこの国民的な意思決定を覆し、臓器移植法の指定する臓器以
 外は本人の拒否がない限り遺族の同意で行えるとしています。今回の幹細胞臨床研
 究に関する指針では、この運用指針を正当化する方向となっています。 [9] [10]

  死者からの細胞採取については、脳死をめぐる議論において発言してきた有識
 者・宗教関係者の意見を聴き、国民一般との議論をさらに深める必要があると考え
 ます。

3.弱者保護・代理同意について

  現在の指針案は、被験者保護の原則である「弱者保護」の規定が欠落しています。
 また、代理同意の規定についても、「法的無能力者」もしくは理解能力・同意能力
 の弱い者の保護規定が、ヘルシンキ宣言の水準に至らないものとなっています。ド
 ナーにとって全く利益のない幹細胞移植研究について、子供や法的無能力者・弱者
 がドナーとなることを正当化しうる論拠の検討が不十分です。現専門委員の見識が
 不十分であるように見受けられるので、この分野を専門とする複数の有識者の意見
 を聴くことが必要であると考えます。

4.専門委員会の構成について

  専門委員会の構成について、再生医学研究を推進する立場の研究者が4名入って
 おり、専門委員会委員長の中畑龍俊氏、委員の西川伸一氏、鍋島陽一氏(3名とも
 京都大学教授)は、製薬企業等が多数出資する財団法人先端医療振興財団の再生医
 療センターにおける再生医学ワーキンググループのメンバーであり、岡野栄之氏も
 同様の第一線の再生医学研究者です。西川氏、岡野氏は総合科学技術会議において
 検討される「再生医療の実現化プロジェクト」において研究チーム・リーダーとし
 て挙げられています。こうした国家的プロジェクトにおいて研究を推進する立場の
 者が国の倫理指針を作成する委員となることは、「利益相反」の点で問題がありま
 す。少なくとも専門委員会の委員長は中立な立場の者が担うべきです。また、最先
 端の研究に携わる者が研究の現場を知る者として1名委員会に入ることは許容でき
 ますが、それ以上は外部有識者として意見聴取すべきです。


【質問状】

 以上に述べたような認識から、貴専門委員会におかれては、ご検討の上、以下の質問
に対する回答を2003年1月、指針のパブリック・コメント版決定以前にいただけるよう
要望します。

1)中絶胎児の幹細胞臨床研究への利用は、中絶胎児から得られるEG細胞と同様、当
  面認めないものとし、総合科学技術会議の運営を再検討した上、総合科学技術会
  議で議論すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

2)12月12日の委員会において、委員相互の間に、議論されているのは中絶胎児な
  のか死産による胎児なのかの認識の相違があった点についてご説明ください。こ
  れをもって十分に議論したといえるのでしょうか。

3)中絶胎児研究利用全般についての実態調査は、これまでに行われたことがあるの
  でしょうか。また、今後、研究班を立ち上げて実施する見通しはあるでしょうか。

4)中絶の現場で起こりうるリスクについての知見を有する専門家、胎児の幹細胞臨
  床研究への利用を憂慮する立場の産婦人科医、中絶経験のある女性のサポートグ
  ループ、その他関連分野の有識者からのヒアリングはこれまでに行われていない
  ようですが、なぜか。今後行う見通しはあるでしょうか。

5)海外の胎児研究に関する倫理的問題についての議論、ガイドライン作成の状況、
  海外の胎児細胞を利用した臨床研究の実施状況と倫理的問題についての議論など
  の調査・研究・レビューは行われたのでしょうか。今後行う見通しはあるでしょ
  うか。

6)有識者と一般市民を交えた議論の機会を今後いかにして作っていく予定でしょう
  か。

7)死者からの組織採取について、脳死からの臓器移植をめぐり発言してきた有識者・
  宗教家からのヒアリング、一般市民を交えた議論は行われたのでしょうか。今後
  行う見通しはあるでしょうか。臓器移植法と、その運用指針の不整合はいかに説
  明されるのでしょうか。

8)弱者保護・代理同意については、専門委員以外に、有識者からの意見聴取は行わ
  れたのでしょうか。今後行う見通しはあるのでしょうか。

9)専門委員会の構成は、利益相反の点で問題があると考えますが、いかがでしょう
  か。

以上

注・参考文献

[1] 昭和62年1月社団法人日本産婦人科学会 会長 飯塚理八による会告「死亡した胎
  児・新生児の臓器等を研究に用いることの是非や許容範囲についての見解」で
  は、1) 死体解剖保存法に従い(妊娠4か月以上の胎児は死体と同様埋葬が義務付
  けられる)、2) 代替の方法がなく、研究成果が大きいと予想される場合に限り、
  3) 研究実施者は医師に限定、4) 生存中の胎児・新生児の研究は予後の好転が予
  想される場合のみ、5) 両親の同意のもと、プライバシーを尊重して研究を行う、
  としている。これに加えて平成13年12月15日の追加解説では以下のように述べ
  ている。すなわち、死体解剖保存法に規定されない12週未満については、倫理
  上の配慮をし、尊厳を侵すことのないよう取り扱う。学会は死亡した胎児・新生
  児組織細胞の再生医療への応用研究の発展を禁止しない。提供する立場となる会
  員は自主的判断により、倫理委員会の承認を得て行う。――としている。昭和62
  年の会告は国民一般の議論を経たものではなく、胎児・新生児の健康保持を目的
  とする研究も含む胎児・新生児研究一般に適用する会告として出されたものなの
  で、この会告の基準を、産業利用も標的とした「再生医学研究」にこのまま適用
  することは適切ではない。

[2]日本組織培養学会シンポジウム2 再生医療を支えるもの―考え方と現実と私たち
  研究者にできること―. 2002年5月17日(金). 於: 北里大学白金校舎薬学部本
  館、および第5回ヒューマンサイエンス総合研究ワークショップ「創薬としての
  再生医学(2)」、―幹細胞生物学の基礎と展開― 2002年11月20日(水)〜
  21日(木)於:湘南国際村センター 主催:財団法人ヒューマンサイエンス振興
  財団などのシンポジウムにおいてこれらの問題が議論された。

[3] Freed CR, et. al. Transplantation of embryonic dopamine neurons for severe
  Parkinson’s disease. NEJM 2001; 344(10): 710-9.

[4]Parkinson's miracle cure turns into a catastrophe(Guardian 01/3/13)
  http://www.guardian.co.uk/Archive/Article/0,4273,4151042,00.html

[5] Maclin R. The ethical problem with sham surgery in clinical research. NEJM
   1999; 341: 992-5.(研究結果公表以前に、プラセボ対照であることが問題と
  なった。
   これについてのレスポンスがNEJM誌上に掲載された)Gillet GR. Unnecessary
   holes in the head. IRB: ethics and human research 2001; 23(6): 1-6.(研究
  結果公表後に、過去の薬物治療との比較をせず、リスクの大きい手術でプラセボ
  対照試験を実施し、結果として副作用による害を患者に与えたことの問題性を指
  摘)など、他にも研究を問題視する論文が結果公表の前にも後にも多数刊行され
  た。これらは日本の専門委員会の席上や研究者によるシンポジウムなどにおいて
  検討されていない。

[6]Lindvall O., Hagell P. Cell Therapy and transplantation in Parkinson's disease.
  Clin Chem Med 2001; 39(4): 356-61.では、試験対象となったパーキンソン患
  者の罹病期間や重篤度、副作用や有害事象の発生率の詳細な記載が無いため、従
  来の薬物治療よりも優れた効果があるのか否かを判断できない。なお、2001年
  に刊行されたパーキンソン病治療のレビューOlivier Rascol, Christopher Goetz,
   William Koller, Werner Poewe, Cristina Sampaio. Treatment interventions for
   Parkinson's disease: an evidence basedassessment. Lancet 2002; 359: 15
  89-98.では、パーキンソン病治療において胎児細胞移植の有用性を認めていない。

[7] 上記注の2、ヒューマンサイエンス振興財団ワークショップ(オーガナイザー・
  岡野栄之)により議論された。

[8]第154回国会衆議院文部科学委員会第12号平成14年5月29日
   http://www.shugiin..go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/
   009615420020529012.htm OpenDocument

  第145回国会衆議院文部科学委員会第13号平成14年6月5日
   http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/
   009615420020605013.htm OpenDocument

[9]ぬで島次郎. 先端医療のルール. 東京: 講談社; 2001.において的確に指摘されてい
  る。

[10]死体解剖保存法(昭和24年)は主として死因究明や本人の疾患と関連した研究
  のための解剖を遺族の同意で行えるとしているが、死者から組織を採取し移植研
  究に利用する場合を想定していない。法の適用範囲を超える組織の利用は死体損
  壊罪を構成しうるという見解と、正当な理由があれば許されるという見解と、両
  論がある。献体法(昭和58年)は、教育のための献体を本人の明示的な意思表
  示により行えるとしている。「角膜及び腎臓の移植に関する法律」(1979年)
  は、遺族の承諾により死者の角膜と腎臓の移植を行えるとしたが、1997年臓器
  移植法により廃止され、腎臓と眼球の採取は本人意思と家族の同意が必要とされ
  たが、付則および運用指針において心臓死後は遺族の承諾で行えるとしている。
  2000年厚生省による「細胞・組織利用医薬品等の取り扱い及び使用に関する基
  本的考え方」では医薬品製造等を目的とした死者からの細胞・組織採取は本人が
  拒否していない限り遺族の同意で行えるとしており、今回の指針が現在の案のま
  ま決定すれば、上述の「基本的考え方」に続いて、臓器移植法の同意原則を覆す
  運用指針を追認することになる。