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医療従事者の良心的行動を支援する会の活動
栗岡 幹英(社会学研究者)
医療従事者の良心的行動を支援する会(Some-CA)は、2001年3月に、市民の有志によって設立されました。当時日本のマスコミは、日本医大で下顎骨整復手術を受けた女性が術後2日で亡くなった事件で、この手術に立ち会った医師が2年ぶりに事故の様子を被害者遺族に伝えたという件を大きく報道していました。同時にインターネットでは、この医師に対するプライバシーや人格の尊厳を無視した個人攻撃が繰り広げられました。インターネットは、草の根からの発信の機会を拡大しましたが、同時にこのような陰湿な攻撃の手段となることも知っておかねばなりません。このような攻撃を許しておけば、表現手段としてのインターネットに規制を加える根拠にもされるでしょう。しかし、これはここでの本題ではありません。
医療、とりわけ大学病院における医局制度は、今日の日本でも封建的な上意下達が横行している場所のひとつだと言われます。医師は、現在の収入源だけでなく未来の栄達もすべて大学病院に依存するわけです。このような環境で事故を明らかにし、内部告発を行うのは、非常に困難なことです。もちろん、それは医療事故にあって大切な家族を失った遺族の苦しみや悲しみには比較しようはありません。しかし、このような勇気ある行為が、医療事故の経緯や問題点を明らかにし、また被害者遺族の気持ちを幾分かでも癒すこともあります。
私たちは、このような医療者の良心的な行動を支援することが、直接にではなくとも、医療の改善につながると確信しています。
Some-CAは、勝手連的に支援するケースを含めていくつかのケースに関心を持っています。具体的にはSome-CAのホームページに掲載しています。なかでも現在の活動の中心は、前述の日本医大下顎骨手術急死事件のG医師を支援することに置かれています。というのは、日本医大と執刀医が、この医師に対して1億3千万円という巨額の損害賠償を要求する名誉毀損裁判を起こしたからです。普通なら報道機関を対象に起こす裁判でこのような巨額な賠償を請求することには、日本医大のG医師に対する怒りと専横的体質がよく表れています。この事件については、上記のSome-CAホームページにいくつかの資料が掲載されています。
Some-CAでは、G医師の裁判を傍聴し、G医師と被害者遺族の闘いを精神的に支えたいと思います。また、G医師の苦境を多少とも支援するために、カンパ活動を始めました。Some-CAが撒いたささやかな種は、着実に芽を出しています。
なお、東京地裁での第1回公判は2月4日10時から柴田俊文,片田信宏、笹井朋昭の3名の裁判官によって開始されました。被告G医師側代理人の安原幸彦弁護士からは、次のような見解が示されました。
一連の報道をG医師がマスコミを使って名誉毀損したという組み立てになっている。
名誉毀損訴訟は普通、報道機関に対してするが、G先生だけを相手に訴訟した。
というのに1つの特徴がある。
もうひとつの特徴は、日本医大に1億円、医師に3000万という絶対認容されるはずの
無い金額をあえてしているという事に特徴があり、またこの訴訟の狙いもここにある。
我々はG先生がマスコミに報道提供や話したというのでなく、患者に対して真実を
隠さずに話した。それを聞いた患者さんがどう追及したか。行動したかは別の問題で
あると受け止めている。
今後は、あまり医学論争に踏み込まずに早期に解決する道を探りたい。
次回の公判は3月11日10時からです。多数の方の傍聴をお願いいたします。
(2002.03.02 文中のお名前のうちイニシャルになっていなかった部分を修正)