1997.4.1
日本は世界的にまれにみる薬害を次々に生み出してきた。その反省がほとんどない
ままに、また薬害エイズやソリプジン事件など、重大な薬害が繰り返されている。こ
れらの重大な薬害で明らかになった問題点は、抗アレルギー剤や1994年承認新薬の
評価、薬価の国際比較などを通じて、現在実際に販売されている多くの医薬品に共通
する問題であることが判明してきた。
その構造とは、
(1)『危険なもの、効果のないもの』が、『安全でよく効く』と過大な評価を受け、
(2)国際的に見ても異常に高い薬価で発売されている
(3)高薬価ほど利幅が大きいという医療経済的構造と、過大評価を受けた情報のため
に高薬価の薬ほど多用され、その結果
(4)製薬企業は高利潤を得、潤沢な資金を得る。
(5)その潤沢な資金を駆使して、宣伝販売活動が行われ、
(6)さらに公的な研究資金不足も関係して、研究者/教育者/専門家による医薬品情
報に影響し、評価のための研究にも影響を及ぼす。
その結果
(7)医療費の無駄遣い(3兆円)となり
(8)情報の公開がなされていないこと、
(9)行政や臨床試験責任研究者の行為に過誤があっても罰則規定がないために余程の
重大な過失や不作為がないかぎり、罰せられない(研究者には全く規定がない)こ
とも重なって
(10)薬害を多発させている。
以上のようにまとめることができる。
このような構造にメスを入れるためには、厚生省や製薬企業、医学の既成の権威者
とは独立した医薬品および医薬品行政を監視する組織をつくり、監視活動をしなけれ
ばならないと考え、1996年6月に、菅厚生大臣(当時)に提言した。
この時は、公的な監視機構を提案した。提案の内容は、その後薬務局の分割改組と
いう形で、厚生省の改革案にも一部取り入れられた形となった。しかしこれは、監視
機構や罰則規定、公開の原則が整備されていない機構改革であり、極めて不十分なも
のであった。また、総合開発研究機構(NIRA)にも、大幅に提案の内容が取り入れら
れた。
公的な監視機構というものを、この日本において早期に実現することは期待でき
ない。一方、これまでの薬害の被害者やその原告の弁護を担当してこられた方々が
中心となって、薬害防止のための監視活動を始めようとしている。このような活動
の基盤になる問題の薬剤、問題の治療方法などの科学的な証拠となる事実の検討を
する組織が必要である。このような監視活動に専念する医師・薬剤師など専門家が
これほど求められている時はいまだかってなかった。
医薬ビジランスセンターJIP:Japan Institute of Pharmacovigilance for
Evidence-Based Healthcareはその要請に応えるべき組織として、設立する。
【1】名称 医薬ビジランスセンターJlP(Japan Institute of Pharmacovigilance
for Evidence-Based Healthcare)
【2】目的 日本において、薬害を防止し、医薬品および医薬品行政を監視し、根拠に基
づく医療(evidence based medicine)を進める。
【3】機能 上記目的達成のために必要な根拠となるデータ作りをすることを主要な機能
とする、細目は
1)日本の医薬品の評価に関する調査研究
・世界的な評価基準による再評価に関する研究
(コクラン共岡研究プロジェクトとしての研究を含む)
・医薬品の価格に関する研究
・医薬品の評価と価格との関連に関する研究
2)医薬品情報の質の評価に関する研究
・専門家向け情報教科書、学術論文、医薬専門雑誌記事、添付文書、製薬企業
宣伝惰報
・一般向け情報
一般向け医学書、患者向け医薬品情報、患者向け添付文書
医薬品広告など
3)医薬品使用および治療の質の評価
・使用実態調査
・使用による書の調査研究
・医療現場での個々の使用、医療行為に関する評価および、医療裁判の鑑定
4)医薬品行政および医薬品経済システム等に関する評価研究
5)それらに必要な情報の収集
6)研究結果情報の提供、公表および普及
・TIP大阪事務所として委託された業務
・民間医薬品監視組織への情報提供
・その他出版物の刊行および販売など
7)医薬品治療に関連する相談および診療業務
8)上記の情報収集、評価、調査、研究、普及を行う人材の養成
9)その他上記薬害を防止し、医薬品および医薬品行政を監視し、根拠に基づ
く医療(evidence based medicine)を進めるための情報収集、評価、
調査研究、結果情報の提供、普及、教育およびそれに関連する諸事項
【組織】代表: 所長 浜六郎 事務局長 坂口啓子
事務局員 有本佳代子(98,4〜)
住所:〒580−0004大阪府松原市西野々1−10−2,320
電話:0723−30−1622.1602 FAX:0723−30−9396
〔医薬ビジランスセンターJIPは医薬品・治療研究会(TIP)の
大阪事務所を兼ねています。また、1999年4月より薬害・医
療被害情報センター(神戸市)の一部業務を引き継いています。〕