→1/23問題提起
→off labelとは
→off label使用と法的責任
→適用外使用
→小児科医の減少との関連
→高齢者の場合
→1/24USAの小児治験
→off label薬品は不可欠
→社会で取り上げて
→1/25FDAの動向ほか
→1/27文献紹介
→文献紹介reply1
→文献紹介reply2
→1/28FDAの動向についての報道
※お願い:各発言者のご厚意でメーリングリストでの発言を再掲しています。技術上の問題で
元発言から不要と思われる部分を削除したり、引用文を省いて該当個所を指示したりして
おります。発言された方あるいはその他の方で、この取り扱いについてご意見や修正要請
がある場合には、yakugai-info@mi-net.orgにご連絡ください。
栗岡@静岡です。……
e-drug MLから、話題を翻訳、要約してご紹介します。元の情報はBMJ(British
Medical Journal?)にGavin Yamey氏が書いているようです。
このなかで、unlicensedとかoff labelとか書かれている医薬品がどのようなもの
なのか、イギリスの制度を知らないので確認していません。いちおう前者を「未認
可」と訳しましたが、日本の状況を考えると、誤訳である可能性が高いように思い
ます。詳しい方、教えてください。また、私自身が確認できたら、機会を見てご紹
介します。
>労働党下院議員が先週、子どもを未認可の医薬品から守る法案を提出
>
> この法案は、1968年の医薬品法で提供された大人に対するそれと同様の保護を子ど
>もに対しても与えるために、子どものための医薬品の治験と認可を強化することをめ
>ざしている。この法案は、すべての政党から支持され、また消費者協会と王立看護大
>学(the Royal College of Nursing)がバックアップしている。……
> 最近の全ヨーロッパにわたる調査によれば、67%の子どもが未認可であるいは「ラベ
>ルなしにoff label」処方された薬を受け取っている。……
> ラブ氏の法案は、子どもの医薬品使用、特に副作用についてのデータの提供を政府
>に義務づけることを求めている。また、新しい薬は、厳密に設計された治験において
>病気の子どもを対象に治験を行うことを推奨している。ただし、すでに使用されてい
>る薬については治験を求めていない。
e-drug MLからもう一件、JAMA(Journal of American Medical Association, 『
アメリカ医師会雑誌』?)に「医師と製薬企業 −贈り物はそもそも単なる贈り物
なのか?」が掲載されているとのこと。全文が
http://jama.ama-assn.org/issues/v283n3/full/jrv90028.htmlから読めます(英語
です)。abstractを読んだ範囲での紹介を薬害資料館に載せるつもりですが、今日
できるか、明日になるか、それとも……。
斎尾です。
> > 最近の全ヨーロッパにわたる調査によれば、67%の子どもが未認可であるいは
> >「ラベルなしにoff label」処方された薬を受け取っている。……
off label というのは、「適応外使用」という意味です。能書に載っていない使い
方という意味です。
小児用の薬剤については、治験は困難ですよね。
安東宏三@弁護士・東京です。
……
小児科領域でのオフラベル薬については、日本でも非常に大きな問題だ
と思っています。
詳しいことは専門の方に是非コメントしていただきたいのですが、私の理
解しているのは、次のような問題点です。
本来「子どもは小さな大人ではない」ため、たとえば大人に対しては治験
済み・認可済みの薬であっても、小児用の容量・用法等については、本来
別の治験が必要です。
(用法や容量の変更は治験が必要な事項です。治験なしには能書の改訂
もできません。)
しかし、小児科領域では、そもそも薬の使用量が少なくて採算性に乏しい
うえ、治験の実施が実際上非常に困難であるため、企業が治験をやろう
というモティベーションが全く働かず、そのため多くの薬では、治験がなさ
れていません。
そのために、小児科では治療上絶対に必要な薬のうち、非常に多くの部分
が、治験抜きで薬として使用されている(使用せざるを得ない)という現実が
あります。このような薬を「オフラベル」といいます。
オフラベル使用をしなければ小児科の医療行為は一日も成り立たないとい
う現実がありながら、治験は行われない。そのため、形式的には、法規制と
は全く離れたところで日々の治療を行わざるを得ない。
そういう問題ですよね。
「小児への薬物投与の留意点」(大西鐘壽、「月刊薬事」1999年4月号
15頁)が参考になります。
ところで、このようなオフラベル使用に伴う法的責任はどう考えればいいので
しょうか。
たとえば、古くからある小児科用の治療薬には、昔の研究水準に依拠した能
書が、改訂されずにそのまま今も生きているものがあります。
古い能書の記載がその後の医学の進歩で時代遅れになっても、改訂のため
の治験がなされないからです。
このような場合、古い能書の記載に反してなされた治療により医療事故が発
生した場合、「能書違反の治療については過失が推定される」という有名な最
高裁判例(ペルカミンショックのケース)の適用はあるのでしょうかね?
皆さんからご意見をいただければありがたいですが。
森 隆比古@大阪市住吉区です。
Takeo Saioさんの 2000年 1月 23日付けご発言
[mi-net.2838] Re: 子どもを未認可医薬品から守る法案(英国)
から一部引用しコメントします。
>off label というのは、「適応外使用」という意味です。能書に載っていない使い
>方という意味です。
>小児用の薬剤については、治験は困難ですよね。
「適応外」だから,必ずしも使用が誤っているというわけではありません
ね。「適応」の方に問題があることも多く,それを整備する必要もありま
すね。
「適応外使用」の件は,わが国の麻酔科診療でも大きな問題になっていま
す。
例えば,術後鎮痛や,癌性疼痛の治療にきわめて有効な,オピオイド(モ
ルヒネとかフェンタネストとか)を硬膜外に投与する方法は,アメリカで
も中国でも,世界各国で行なわれている標準的なもので,わが国でも当た
り前の医療として行なわれており,教科書や医師会が配っている本にまで
掲載されていることですが,能書には,そのような使用法はありません。
したがって,保険基金や支払い者から適応外(この場合は用法外も含む)
使用として支払いを削られることがままあり,先日私が勤める病院で行な
われたような,厚生省と自治体による特定共同指導(という名目の監査)
の際にも,指摘されることが多いです。日本麻酔学会は,厚生省に強く働
きかけているそうですが,厚生省からの返事はまだありません。
実は,この共同指導の際にも,オピオイドの硬膜外投与については,学会
などを通じ,厚生省にもっと強く働きかけて適応として認めてもらうよう
にしてくださいという示唆があったほどで,厚生省の医系技官にも理解は
広がっているようですけれど,規定上,すなわち法的には適応外・用法外
です。
かといって,これを通常のルートで適応にのせるには,治験の莫大なデー
タと,煩雑な手続きが必要になってくるので,製薬会社も二の足を踏むよ
うです。実際,高価で収益の大きな薬ならともかく,薬価が安く,需要が
限られている麻酔関連の薬などの適応拡大はたいへんだと思います。
このような適応外・用法外使用が当たり前の薬は,麻酔に限らず各領域に
あり,上記はほんの一例です。
報道によれば,厚生省もその問題は認識して,解決に向かっているんだそ
うですが,その動きは遅々としているように思います。そんなことを整備
しても,いずれは DRG/PPS(診断病名のグループ化による医療費包括払い
制度)になるのだから無駄だというのでしょうか。今までは,これら,シ
ステムの不備によるものは,保険基金の審査でおめこぼししてくれていた
りして,柔軟に運用,すなわち規定の不備や矛盾を運用でごまかしてきた
というのが現実でしょう。ところが,医療費の財源が厳しくなって,問題
が露呈してきたのですね。
栗岡です。
重複して受け取られる方、済みません。
斎尾さん・安東さん・森さん
教えていただき、ありがとうございました。こういうときに、mi-netやmhrに入っ
ていて良かったと思います。聞くは一時の恥……。ところで、お三方にお願いがあ
ります。メールの最後をご覧ください。
>off label というのは、「適応外使用」という意味です。能書に載っていない使い
>方という意味です。
>
>小児用の薬剤については、治験は困難ですよね。
たしかに小児用薬剤の治験は難しいでしょうが、この法案はどう考えているのか
、治験をしないとしたら、単純に体重分加減するということでよいのだろうか、と
いった疑問が湧いてきますね。
安東さんのご指摘は頷けます。法的な責任問題は確かに難しそうです。また、少
し前に加部さんたちが議論していた、小児科医の減少(「絶滅」!)という議論は
、こんな問題をきちんと議論し、子どもたちを守るよう主張できるプロフェッショ
ナルがいなくなるということですね。
教えていただいた参考文献を探してみます。
>本来「子どもは小さな大人ではない」ため、たとえば大人に対しては治験
>済み・認可済みの薬であっても、小児用の容量・用法等については、本来
>別の治験が必要です。
>(メールの引用一部省略:該当個所)
>「小児への薬物投与の留意点」(「月刊薬事」1999年4月号15)が参考に
>なります。
小児科に限らず、高齢者に対する薬剤とその分量にも同じ事が言えます。
局方の薬剤量の3分の1から半量です。
これは体重比と薬物の体内代謝が落ちている理由に因ります。
8剤の多剤投与の処方を受ける患者に対して、何らかの広報活動が必要
でないでしょうか
浅山 健
じほう出版局の木枝と申します。
いつもお世話になっております。
"Kozo Ando" <fwka9709@mb.infoweb.ne.jp> wrote on 00/01/23 10:54:
(以下、既発言を全文引用しているので省略:該当発言)
うろ憶えで申し訳ないのですが、確か昨年、米国FDAが新薬の承認申請に、小児の臨床試験を義務づける、という案を出したような記憶があります。薬事日報という業界紙にちょっとだけ掲載されたと思います。
今は出先なもので、後日、調べてみます。
また、補足になりますが、件の月刊薬事にご執筆いただいた大西鐘寿先生は、小児科学会で適応外使用の問題について活動されており、日本における小児のオフラベル使用にお詳しい方のお一人です。
この問題については、オフラベル使用の倫理性と、小児への治験実施の倫理性(というか実施の困難さ)という二面を抱えているようですね。
保険医療との関連もありますが、今回の主題からは外れますので控えます。
もう一つ、オフラベル使用で事故が発生した場合の問題については、実際に適応外使用をしている医師から、(1)患者に対し薬事法上の承認を得ていない使い方である(つまり「医薬品」として使っているのではない)こと、(2)その使用で発生するベネフィットとリスク、の2点について、十分な説明と使用に対する同意がない限り、法律上の責任を免れないだろう、という話を聞きました。
その法律が医師法だったか民法だったか定かではないですが。
古い添付文書と違う使い方については、保険医療上は問題が生じるでしょうが、保険から離れた医療ということであれば、基本的には上記のような条件をクリアしていればよいのではないでしょうか。
何かご参考になれば幸いです。
> たしかに小児用薬剤の治験は難しいでしょうが、この法案はどう考えているのか
>、治験をしないとしたら、単純に体重分加減するということでよいのだろうか、と
>いった疑問が湧いてきますね。
....うろ覚えで申し訳ないのですが....アメリカでもこの件は問題となっていて、
確か1998年、99年とクリントン大統領のコメントが出て、法律が作られた?作られて
いる?と思います。お金のかかる小児の治験を促進するために、確か、協力した企業
には、他の薬物の特許の有効期間を延長する..など「アメ」が与えられるような、そん
な話だったと...^-^;;....もちろん「ムチ」もあったはずですが...^-^;;...
> 安東さんのご指摘は頷けます。法的な責任問題は確かに難しそうです。また、少
>し前に加部さんたちが議論していた、小児科医の減少(「絶滅」!)という議論は
>、こんな問題をきちんと議論氏、子どもたちを守るよう主張できるプロフェッショ
>ナルがいなくなるということですね。
> 教えていただいた参考文献を探してみます。
....小児科だけでなく、オフラベルは深刻な問題です。とりわけ、医療過誤裁判が
増えている現状では、オフラベル薬の使用の可否が法的に判断されてしまい、何かの
拍子に使用できない...等と言うことになる可能性も否定できません。そうなったら...
どうしたらいいのでしょうか?
ちなみに、新生児医療で常用されている薬品の8割近くがオフラベルである...と言う
デ−タもあります.....
加部一彦@新生児科医
じほう出版局の木枝 様
浅山健@東京・麻酔科医です
日本医師会ニュウスでじほう発信の記事を読んでいる一人として、今回
の発言を嬉しく思います
小児科も麻酔科も共に小児に使う薬剤の未認可に泣いています。
この問題を会社が取り上げていただくことを切望します
宜しく
じほう出版局の木枝と申します。
いつもお世話になっております。
出張から帰ったので調べてみました。
まず訂正とお詫びです。
FDAの記事が掲載されていたのは薬事日報ではなく化学工業日報でした。また,記事
も昨年ではなく一昨年ではないかと思われます。済みません。
この記事を探したのですが見つかりませんでした。そこでFDAのサイトを探したとこ
ろ,それらしいfederal registerが見つかりました。
http://www.fda.gov/ohrms/dockets/98fr/120298c.txt
英語ダメダメな私ですが,タイトルが「Regulations Requiring Manufacturers to
Assess the Safety and
Effectiveness of New Drugs and Biological Products in Pediatric
Patients; Final Rule」とありますので,多分これだろうと…。1998年の12月に告示
されてます。
テキストで300KBもあるページ(ちょっとだけ軽いpdfファイルもあります)なので,
とても読めませんが,この中の表1で,FDAの新薬承認と小児への投与のラベリング(
記載と訳せばいいのでしょうか)の動向がまとめられているようです。
不勉強で申し訳ありませんが,英国の動向も米国の動きと関連したものかもしれませ
んね。最近はICH絡みで承認申請のハーモナイゼーションを進めてますから。
At 13:18 00/01/24 +0900, you wrote:
(既発言からの引用を省略:該当発言)
加部さん、皆様 こんにちは。
練馬の平田智子です。
小児の適応外使用について関係する「医薬品適応外使用のエビデンス」という本があ
ります。
津谷喜一郎・清水直容 編
デジタルプレス 発行 定価 5,000円 1999.9.20 発行
ISBN4-925066-01-3
もうすでにご紹介されていましたらごめんなさい。
以下、内容紹介です
本書は、1998.3.13に開催されたワークショップ「医薬品の適用外使用とエビデンス」
と同年4.23に会されたセミナー「医薬品の適応の現状と今後の課題」での講演とディス
カッションなどをまとめ、さらに、平成9年度厚生科学研究・オーファンドラッグ開発
研究事業「難治疾患・希少疾患に対する医薬品の適応外使用のエビデンスに関する調査
研究」(以下、研究班)の研究報告書を収載したものです。(序文より)
研究班は、「特定疾患(難病)に対するもの」「日本臨床薬理学会からの要望」「日
本小児臨床薬理学会からの要望」をあわせ、医薬品と疾病との組み合わせで約数百のリ
サーチクエスチョンを収集し、有効性、安全性に関して、それぞれのリサーチクエス
チョンについて、全世界より臨床試験の情報を収集し、その質評価を行い、その統合を
行う、システマティックレビューにより、エビデンスのグレーでリングを行い、その情
報を関係機関に提供し、その医薬品のより合理的使用に供することを目的とする
(研究班報告書 研究目的などより)
また、本研究は、平成10年度より3年計画で、創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
「難治疾患・希少疾患を主とした医薬品の適応外使用のエビデンスに関する研究」とし
て継続実施中である。とのことです。
途中段階ですので、数百のリサーチクエスチョンすべての情報収集と評価が終了したと
いうことではありません。
また、1999年2.1付けで厚生省健康政策局研究開発振興課課長、同医薬安全局審査管理課
長による「適応外使用にかかる医療用医薬品の取り扱いについて」の通知が発行されて
いるそうです。
この研究報告書を1冊持っておりますので、よろしければお送りいたします
ご興味ありましたらどうぞご連絡ください。
長文お付き合いくださいましてありがとうございました。
平田さん、こんにちは....
>小児の適応外使用について関係する
>「医薬品適応外使用のエビデンス」という本があります。
...はい。この本は以前、このMLでも紹介されたことがあり、僕も読みました。
>また、1999年2.1付けで厚生省健康政策局研究開発振興課課長、同医薬安全局審査管理課
>長による「適応外使用にかかる医療用医薬品の取り扱いについて」の通知が発行されて
>いるそうです。
...これは見た記憶がありません。薬局に聞いてみたいと思います。
>この研究報告書を1冊持っておりますので、よろしければお送りいたします
>ご興味ありましたらどうぞご連絡ください。
....「医薬品適応外使用のエビデンス」とは別の物でしょうか?
加部一彦@新生児科医
加部さん、こんにちは。平田です。
すでに、ご紹介されていたとのこと。失礼しました。
>>この研究報告書を1冊持っておりますので、よろしければお送りいたします。
>>ご興味ありましたらどうぞご連絡ください。
>....「医薬品適応外使用のエビデンス」とは別の物でしょうか?
その中の、報告書の部分です。
じほう出版局の木枝と申します。
いつもお世話になっております。
標題の件ですが、自社の媒体に情報がありました。灯台下暗しです。
概要は以下のとおりです。
私としては、適応外使用に関する製薬企業から臨床への情報提供が緩和された、とい
う部分が米国らしいな、と感じます。
日本の場合、実態として広く使われていても、(医療保険での不正請求を指摘される
ことを恐れて)その情報をつまびらかにしにくいという現実があります。
MEDIAPEX 1999年 01月 15日号
海外の動き/小児の適応外使用医薬品の専門情報提示を促す/FDAが告示
FDAは、小児使用が多いのに、投与量などの専門情報が提供されていない製剤に対
し、小児臨床試験に基づいた情報の提示を促す権限を定める規則を告示した。製薬業
界の自主的な対応に委ねる体制では不十分との判断に立った措置。
適応外(オフ・ラベル)の薬剤使用に関する製薬会社の情報提供を緩和する規則も
告示された。