◎裁判所・年月日 福岡地方裁判所小倉支部昭和55年11月25日判決
◎事件名 損害賠償請求事件(筋弛緩鎮静剤・ミオブタゾリジン)(否定例)
◎要旨
1 医薬品の製造承認等についての厚生大臣の薬事法上の注意義務
厚生大臣は、医薬品の製造承認に際し、あるいは製造承認後においても、医薬品の安全性確保のため副作用の認識・予見に努め、かつ副作用が認識・予見された場合には適切な結果回避措置をとるべき注意義務を薬事法上負う。
2 厚生大臣の医薬品についての安全性確保義務の程度
医薬品はその有効性と安全性の比較衡量の上で有用性が決せられるものであり、それは高度の専門的技術的判断に係るから、厚生大臣が医薬品の安全性確保のためにいかなる措置をとるべきかはその裁量にゆだねられており、したがつて厚生大臣の安全性確保に関する措置は、それが社会通念上著しく不当で裁量の範囲を逸脱したものと認められる場合にのみ、右注意義務に違反した、違法、有責なものとなる。
3 筋弛緩、鎮静剤「ミオブタゾリジン」の投与を受け薬物性劇症肝炎により死亡(昭和40年代後半)した訴外人の遺族からの損害賠償請求につき、厚生大臣の薬事法上の注意義務違反を否定した事例
◎コメント
厚生大臣の医薬品についての安全性確保義務を一般的には認めながら、厳格な要件を課し、結果としては否定している事例である。
◎出典 訟務月報27巻4号661頁