◎裁判所・判決年月日 札幌地裁昭和57年10月26日判決
◎事件名 小樽種痘禍事件
◎要旨(事実と判旨の概要)
小樽保健所において行われた集団種痘接種において、当時ゼロ歳の原告が種痘後9日目に突然高熱を発し、12日目から両下肢の不全麻痺を含む脊髄炎の症状を呈するなどの神経合併症を起こし、重篤な後遺障害が残ったという事案において、因果関係については広義の種痘後脳炎のうちの脊髄炎型に合致する臨床経過をたどっていること、発熱当時から軽い脳炎があったこと、種痘以外に原因事由が認め難いことを考慮して種痘と後遺症の因果関係に高度の蓋然性が存すると認めた。また種痘の数日前から風邪の症状があったのに「普段と変りないか」又は「機嫌はどうか」健康状態の異常の有無を、単に概括的、抽象的に尋ねるにすぎない予診によって看過したことを過失と認めた。そして過失相殺の上で損害賠償を一部認容した事例。
◎コメント
種痘を原因とする予防接種事故について、東京地裁の集団訴訟とは別に単独で提訴した事例。一審では鑑定に加え、裁判所の忌避申立などで長期間がかかっていた。因果関係の認定については 高津忠夫氏を研究代表者とする種痘研究班が、昭和40年から42年にかけて行った「種痘合併症例調査」において採用された基準「種痘後4〜18日の間隔をもつて以下の症状のうち少なくとも一つを呈したもの(但し種痘は確実な善感を示すことを必要とする。明らかに他の原因によると考えられる症例を除く)、イ意識障害、ロ反復ないしは長時間つづくけいれん、ハ運動失調、ニ麻痺、ホ髄液の異常(この症状のみの場合は発熱などの他の症状の有無も考慮すること)」を一つの考え方として採用し、これに基づいて認定した。
◎出典
訟務月報29巻6号1003頁、判例時報1060号22頁、判例タイムズ484号180頁
△抜粋(なし)
事件番号 昭和45年(ワ)第544号
控訴審 札幌高裁昭和61年7月31日判決
上告審 最高裁平成3年4月19日判決
差戻控訴審 札幌高裁平成6年12月6日判決