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手術患者取り違え事故防止ガイドラインに対する意見



 このページは、医療改善ネットワーク(MIネット)の「手術患者取り違え事故防止ガイドライン」について寄せられたご意見の中から、掲載を承諾していただいたものを掲載しています。


1 松岡さん(愛知)  1999.2.1

 13年前に米国で妻が出産した時は、入院と同時にリスクバンドをつけ(両手だったか )、新生児も出産室内でバンドと足型を取りました。私には何の知識、先入観もない 状態での経験でしたが、「しっかりしたシステムができている」との好印象を持ちま した。

 今回の貴活動の報道で、識別票は「患者が物扱いされる」との危惧が関係者から寄せ られているようですが、残念に思います。私は「看護婦や医師が口頭で点呼、確認」 のような方法には賛成できません。いつ、だれが、何と何を用いて何を確認したかが 、あとから物的根拠で第3者から確認できるシステムが必要と思います。そのためには識別票は不可欠だと思います。

 議論するべきは、識別票を付けたり、確認したり、 外したりする時期や方法、その記録方法だと思います。
 早く、当たり前のこととして、日本社会に普及することを望みます。


2 H.,N.さん(香港) 1999.2.1

 私は現在,香港に駐在しております日本人です。
 日本の情報には若干疎いのですが,この度の患者取り違えの 医療ミス。何とも信じがたい話ですね。

 一昨年前の話ですが,私は香港の病院で胆嚢摘出手術を受けました。
 月曜の夕方から入院。入院した直後に手首にバーコードのついた名札を付けられました。退院するまでは,はずしてはならないもの です。
 手術の当日の火曜日,執刀医が病室に訪問。 簡単な手術の説明。(顔色を見にこられた程度) その後,麻酔を何本か打って手術室に運び込まれました。手術室内の手術台の上に移されても私の意識ははっきりしていました。 そこで,再度,執刀医と笑顔でのやりとりがありました。側で初対面の看護婦がバーコードを確認していました。それから,もう一度麻酔を打たれ,手術室を出る台車の上で目覚めるまでは記憶がありません。
 朝9時からの手術で,朝10時過ぎには病室に戻っていました。 摘出した胆嚢を執刀医が病室まで持ってこられ,見せてくれました。 また,点滴中にも何回か執刀医の訪問がありました。 術後の傷口を見ては,good!とニコニコされてました。
 そして,木曜の午前中には無事退院しました。術後の昼から普通の食事を取り,飲み薬は一切ありませんでした。
 USAの資格を持った香港人の医者でしたが, 患者を不安にさせないサービス満点の医者でした。
 日本の医療,どこでどう間違ってしまったのでしょうか。


3 K.,T.さん(医師、麻酔科:神奈川) 1999.2.1

 突然のメールで失礼いたします。
 私は300床程度の中堅外科系病院の手術室を任せて頂いております麻酔科医ですが、ガイダンスを興味深く 読ませて頂きました。非常に良く考えられていて、すばらしいとは思いましたが、現実には、またとても程遠いものが感じられました。

 まず大学病院であれば別ですが、市中病院であれば、スタッフはぎりぎりの人数で働いており、
1)手術室看護婦が術前ゆっくり担当患者の術前回診を行う事は不可能 に近いものがあります。できたとしてもひとりで3,4人を回る程度で しょう。
2)麻酔科医が自分の担当患者を診て回ることも同様の理由で不可能に 近いものがあります。当院では、術前ほぼひとりの麻酔科医が術前回診 をおこなっています。
3)手術室申し送りでも申し送りを受ける看護婦と搬送看護婦が異なる ことは、致し方なく、また担当看護婦は更に別と言うこともあります。
4)主治医も非常に忙しく、麻酔後に手術室に入室する事は、決して少 なくありません。
5)全身麻酔を受ける患者は、当院ではヘビーなプレメデイを行ってお り、明確なコンタクトが取れるとは限りません。
等現実にそぐわない点が数多く感じられました。
 ただし、決してだか らと居直るつもりはさらさらありませんが、なにかにつけ、このガイダ ンス通りやっていなかったからと指摘される事に用いられそうで、その点危惧されます。

 当院では今、術前患者にバンドを付ける事を検討しております。
 今後のご活躍をお祈りしております。


4 O.,H.さん(看護婦、アメリカ) 1999.3.7

 この度、手術患者取り違え事故防止ガイドラインを拝見しました。
 私は、 アメリカで看護婦をしています。日本でも約7年看護婦をしておりま したので、日本の看護婦の莫大な仕事の量とそれに伴う責任に関して十分理解しております。
 この度のことが、事件に関わった看護婦、医師、麻酔 医らの単なるミスとしてすまされず、患者の権利を守るという点からシス テムの見直しに発展していることを嬉しく思います。

 私の経験から、アメリカでは入院患者、外来で手術を受ける患者、救急外来で治療や検査を受ける患者全てにIDリストバンドを着けます。日本よりも業務の分担が非常に細かくされていますので、より多くの職種の人が一人の患者のケアに当たります。また、医療保険の関係上、患者の入院期間が非常に短かく、患者の病気の重症度も高いためリストバンドなしでは日本の現状以上に患者取り違え事故の起こる可能性が高いと言えます。患者のケアにあたる各職種は、必ずリストバンドの名前を確認することが徹底しています。

 また、取り違えの問題だけでなく、患者の意思に添ったケアを行うこと、患者の安全を守るという点から、患者によっては、薬のアレルギーを記し たリストバンドや延命処置をしないという希望を記したリストバンドも使用します。
 たかだかリストバンドとは言っても、
1.医療者にとって患者の安全を守る最低限必要な情報が得られること
2.患者にとって自分の生命に対する権利と安全を主張できること
という点から最低限必要不可欠な物と言えます。

これらのシステムの確立なくして、事件に関与した医療者のミスを責める ことはできません。なぜなら、日本の今の現状では、どこの病院でどの医療者に当たっても同じような事故が起こる確率がかなり高いからです。





1999年2月28日  医療改善ネットワーク(MIネット)


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