webzine 医療改善のために
第1号(2001年5月31日発行)

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<他の団体の活動など>

 「医療従事者の良心的行動を支援する会」(Some-CA)について

医療従事者の良心的行動を支援する会・運営委員
 菊元 成典(弁護士 大阪弁護士会所属)
(2001.05.30)

 さて、医療従事者に限らず、いかなる職業人も、自ら選んだ職業に誇りを持ち、自らの良心に従っその職業を遂行したいと思っておられるはずです。
 ここに「良心」とは、大層なことではなく、職業を遂行するにあたっての、自らに恥じない気持ち、とお考えください。
 職業が、生活の糧を得るためのみならず(これも重要ですが)、「自己を実現する」ために与えられたものとして、自らの職業に誇りをもっておられる方には当然のことと思います。

 そして、特に医療従事者(医師、看護婦など)が、仮に、自らの誤った措置や、同僚の誤った措置により、患者さんに損害が生じたような場合、率直にその非を認め、謝罪し、真実を明らかにすることもまた、当該医療従事者の良心に従った行動であるはずです。

 しかしながら、事、ここに至った場合、特に勤務者たる当該医療従事者が、良心に従って真実を告白するには多くの障害がありえます。その過誤に責任がある場合に被害者やマスコミなど第三者からの非難の視線や反応を覚悟しなければならないことは当然ですが、より実際的な問題にも直面するでしょう。
 思いつくままに述べてみます。

(1)まず、当該医療従事者自身の誤りであっても、勤務する医療機関の使用者責任(民法715条)となりえますから、当該医療機関からのなんらかの圧力(不当な配置換えや労働条件の変更、左遷)や、場合によっては失職・・・

(2)(1)により、医療機関から求償(医療機関が患者側に損害を賠償することにより、直接の行為者である医療従事者に請求できるとされる権利。民法715条3項ご参照)を受けること、また失職による経済的困窮のおそれ・・・

(3)勤務する医療機関と対立することになると、患者側との間の交渉や訴訟について、医療機関の担当者や弁護士の助けを借りられず、自ら、交渉ないし応訴の負担を強いられること・・・

(4)特に同僚の過失や、医療チームの誤りを指摘する場合、当該同僚に対する遠慮、「いい格好」をしているとの非難、孤立・・・

 これらのことが、自らの誤った医療処置に気づいても、また、同僚の医療措置が間違いであることに気づいても、真実を告白することができない理由となることについては理解できなくもありません。
 しかしながら、その誤りが(一般的医療水準に照らし)重大である場合、また、結果が重大である場合(自らの担当した患者さんが死亡されたり、植物人間状態になられた場合を想起してみてください。)、爾後、同じ職業を、誇りを持って、遂行することができますか?

 かえって、自らの、また、自らが関与した素直に認める医療従事者の行動に対しては、患者側にも一定の理解を得られる可能性すらありえます(もっとも、場合にもより、また、理解の程度もさまざまですが)。

 そこで、私たち医療改善ネットワーク(MIネット https://www.mi-net.org/ )の有志で、
医療従事者の良心的行動を支援する会
 Supporters of Medical Professionals' Conscientious Actions (Some-CA)
 を作りました。

 私たちは、何よりも、まず、良心に従って真実を告白しようとする医療従事者を「孤立させないこと」、を目標にしています。
 すみやかに電話等でお話しし、できれば面談し、インターネットメールも利用して、かかる医療従事者の相談に応じたいと考えています(患者側との対応、勤務する医療機関との対応等について)。
 また、事案によっては、必要に応じ、訴訟となっている場合はもちろん、それ以前でも、弁護士が代理人につくなどのサポートを行いたいと思っています。
 さらに、職を失するおそれにより真実を告白できない、というような場合は、特別の希望があれば、全国の、医療改善に熱心な病院とのネットワークにより、可能な限り、再就職先を斡旋するというような行動も行っていきたいと思います。

 詳しくは、
 医療従事者の良心的行動を支援する会のホームページ
https://www.some-ca.org/
 も是非ご覧ください。
 その上でよろしければ、医療従事者の良心的行動を支援する行動(これを間接的に支えていただくことも、支援していただくことになります。)に参加してください。なお、この会はMIネットからは独立に運営しておりますので、ご参加にあたってMIネットの会員である必要はありません。