webzine 医療改善のために
第2号(2001年9月15日発行)
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<医療被害から考えること>

 医療ミスの被害から逃れるためには   

小寺 美千子(医療被害者遺族)  
(2001.7.11)  

 突然に襲ってくる医療ミス。
その被害は、患者本人の身体や命ばかりではなく、本人を含めて周囲の人間の未来まで奪ってしまうという悲惨極まりないものです。

医療ミスに襲われた者は、呆然とした時期を過ぎると、あらゆるものを犠牲にしてまでも事の真実を求め、責任ある者に謝らせたく思い、二度と同じような事件が起こらないことを願うものです。

 そして、その過程で日本の医療の現状を知り、愕然となりつつも、何とかしたいと行動を起こしているのが実情です。
 弱い者があくまでも強い者に対し力を振り絞り、あらゆる苦労を強いられるのが、医療被害者の世界の様です。結果、2重3重の被害に遭わされるのです。筆舌に尽くしがたい苦労の末、医療ミスが明らかにされたとしても、被害者の心は永遠に満たされるわけは有りません。
 この様な事は、ここ何十年も行なわれてきた事ではないでしょうか。

 医療ミスに対しては、患者側が力を振り絞って開拓してきた割に、医療側は、まだ何十年も前の体制のままにいる様に感じられます。
 本来なら、全ての医療者が本当のプロとして患者の側に立った医療を推し進め、患者は安心して全ての医療機関に行く事が出来るというのが望ましいのですが、今のところそれが実現される見通しはなかなか立ちません。

  そこで、悲惨な医療ミスから逃れる為には、不本意ながら、患者が医療を消費する消費者(顧客)としての権利意識を持つ必要に迫られています。
 権利意識とは具体的にどういうものなのかというと、まともな医療機関や、医師を探し、どの様に治療してくれるのか、どの様な結果になるのか、これ(治療・検査・薬など)は、なぜ必要なのか、怖いものではないのか等、自分が納得のいくまで尋ね、思わぬ結果には、毅然とした態度で説明を求めていくという事などが、考えられます。

 例えば皆さんが、お風呂の調子が悪くて業者に直してもらったとします。最初の説明と違った結果になったり、却って悪くなったりした時、皆さんは、黙っているでしょうか?
 大抵の方は、苦情を言い、改善を求め、不誠実な事をされれば、二度とそのような業者に依頼する事は無いだろうと思います。
 お風呂なら、どれだけでも取り返しがつくことなのですが、それでも皆さんは、業者と対等に接して、納得のいくようにされる筈です。
取り返しのつかない身体や命に関わる事なら、それ以上に納得のいくまで、医療者と対等に接して、少しでもより良い医療を受けていって戴きたいと願っています。

[付記]

私が受けた医療被害の内容……

1994年6月8日、開業医での『自然気胸』の2度にもわたる診断ミスとその後の総合病院での治療ミスにより、当時16歳4ヶ月の長男を亡くす。

名古屋地方裁判所にて約5年間もの裁判の後、2000年4月24日、総合病院の内科医が合併症発生後50分以上もの間、救命に必要な処置をしなかったのは過失であるとの判決を得た。診断ミスをした開業医には、長男の死に関わっているのは総合病院の医師の過失であるからとの判断で、請求を却下した。

この判決は確定し、裁判は一審にて終了している。

ホームページ・・https://www6.ocn.ne.jp/~koteken/