webzine 医療改善のために
第4号(2002年2月28日発行)
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<さまざまな取り組みから>

病院作りの現場から

中井記念病院の取り組み

 清本敬子(看護師)

 mi-netのmi-ch部会では、「こんな病院がいい」というテーマで多くの議論が交わされました。
新たに気づかされたことや、「こうなったらいいな」とずっと願っていたこと等、興味深いご意見を多数お聞きすることができ、大変嬉しく思いました。

 今回、それらの貴重なご意見を生かし、より良い病院創りを進めていくにあたって、病院開設に携わった経験から感じたことを、エッセイとして少し書いてみたいと思います

〜例えばカルテ開示〜

 今回、カルテ開示をスタートするにあたり、まずカルテ開示を経験された患者さん約30数名の方に初めてカルテを読んだときの感想を聞いてみた。そのうちのお一人が、次のように話しておられた事がとても印象的だった

 この患者さんの看護記録には、ある治療を拒否したことが記載されていた。しかし患者さんは、「いいや。拒否したんじゃない。ただ恐かったんだ」と言う。
 このとき、恐かったという患者さんの気持ちに対して、医療従事者は一体何をしたのだろうか。患者さんの気持ちを「拒否」という行為として簡単に結論付けてしまったのでは。。。そんな疑問と共に、医療従事者の「思いこみ」についてとても考えさせられた

 カルテ開示をすることで、医療従事者の「思いこみ」が顕わになるような気がする。事実を判断するプロセスに問題のある場合や、客観的な情報の記載であっても、患者さんが最も気づいて欲しい、重要な問題ではなかったりする。

 「私たちはこう考えていますが、患者さんは如何ですか?」そんな言葉を交わしながらカルテを共に読み、書いていくことが必要なのだろう。

 カルテ開示の意味は、「見せる」という行為を指すだけではない。患者さんの本当の気持ちに気づいていき、様々な問題を共に考え、付き添っていくことに他ならない、と思う。

 病院創りの過程であらゆる取り組みを検討する際、まず患者さんに聞いてみる、ということがとても大切だと思う。
 当の患者さんがどう思っているか、を知ることからしか、医療は始まらないのだから。