webzine 医療改善のために
第4号(2002年2月28日発行)
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<さまざまな取り組みから>

諏訪中央病院訪問記

小寺美千子

 昨年放送されたテレビドラマ「がんばらない」に感激し、まさに『赤ひげ先生』という言葉で想像できるような医師が院長であった病院を、是非この目で直接見てみたいとの思いが湧き、思いきってその諏訪中央病院を訪れました。
 事前に見学予約をしましたが、たった2人だけの見学ならいつでもご自由にとのことで、連休を利用し、2001年11月23・24日に見学させて戴きました。

 長野県諏訪湖近くに位置するこの病院は、想像していたより大きく、外観上は普通の病院と相違するところは、全くありませんでした。病院内を行き来する病院職員等の態度にも、特別なものはないようでした。
 外来はあいにく休診日であったため、その応対などの実態は見ることはできませんでした。しかしその構造を一部ですが見ることはできました。各科外来診察室は、外の待合とが分厚い扉で仕切られていて、中の診療時の会話は全く聞こえない様子でした。実際そこにいた患者さんたちに聞いてみても、「そういえば聞こえたことは無い。」との返事でした。
 中待合室が設定されていることによって、診療中の会話内容は筒抜けとなり、患者のプライバシ−は侵害されます。以前から、日本中の病院で中待合システムを見直してもらいたいものだと思っていましたから、この諏訪中央病院が、患者のプライバシーを尊重した構造を取っていたことにはとても感心させられました。

 入院病棟にも行ったのですが、まず最初に気付いたことは、看護婦さんの服装が、白衣ならぬピンク衣(?)だけでなく、その上に花模様のエプロンまで着けていたことです。なんだか彼女等の優しさが増すような気がし、良い配慮だなぁと思いました。
 食事時だったのか、食事を運ぶ台が廊下にあり、見せてもらことができました。その台は扉つきでしたので、ホコリやハエなどが入らず衛生的だし、また保冷部分と、保温部分に分かれている造りになっていて、暖かい物は暖かくして、冷たい食べ物は冷たいままで食べることができるような機械作りの配膳台でした。こんな機械は初めて見たため、本当に驚きました。
 入院病棟の南館(新館)などは、個室や4人部屋が、それぞれとっても広く、その部屋一つ一つにトイレと給湯室がついていました。その度に遠くまで足を運ぶ必要がなく、患者も付き添い人も、助かるのではないでしょうか。
 談話室には、冷蔵庫と冷蔵ロッカーが設置してあり、皆で共同で使う冷蔵庫を使用しても良いし、又個人的に使用する冷蔵ロッカーにしても良いというようになっているようです。
 談話室のテーブル・椅子が木製であり、一般家庭で使われているような温かみの有るものであったことにも、少し嬉しい気がしました。

 改善して欲しかった点としては、意見箱の設置は結構各所にあるのに、用紙や筆記用具(紐付きででも)が無かったことや、最上階にある食堂が、患者も小児も同室で利用している状態なのに、禁煙となっていないことなどです。ある一人の医師が、小児の近くで、プカプカと煙草を吸っていました!!
 また、院内感染対策用だと思いますが、入院部屋毎に設置してある消毒薬が、何度も医師や看護婦の方等が入退室しているのを目撃したにもかかわらず、一度も実際に使われているのを見なかったのです。しかし中身が減っているものがありましたので、全く使われていないとは思いませんが・・。

 以上、素人の目で見ただけの、単純な感想しか言えませんが、テレビでの感激は少し薄らいでしまいました。実際の医療行為などを見せていただいた後なら、また違った意見が出てくるかもしれませんが。
 医師(元病院院長)鎌田實さんの細やかな、患者中心の医療をとのお心が、大きな病院であるがゆえ、実際どこまで行き渡っているものであろうかとの思いを残し、帰宅の途につきました。

注:上記の良い点気になった点など、この病院にメールなどで意見を出しておきましたが、その後何の反応も戴くことができていないことを付け加えます。

 鎌田實『がんばらない』集英社2000、定価本体1600円+税