webzine 医療改善のために
第5号(2002年5月31日)発行

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エラーの管理法について

高田宗明(医師)

 Human Error が防げないとなると、エラーと共存して行かなくてはなら
ない。そうなると、エラーそのものを管理する発想が必要になります。
その「エラーの管理方法」についてです。

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<key word>

Error Management =人は誰でもエラーを起こす可能性がある。個人での
  エラー発生防止に限界があるなら、常に見張っておく必要がある。そし
  て、エラーを速やかに発見し、被害が大きくなる前に処理する事が重要。

そこで、エラーの対処を三段階に考えます。ピラミッド型にしたのは、
下の段階ほど捕まえるエラーの数が多いという事を表しています。

        /\
       / 3 \ Mitigate Error :エラーの最小化
      / ̄ ̄ ̄ ̄\
     /   2   \ Trap Error :エラーを早めに修正
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
   /     1     \ Avoid Error エラーを起こさない
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

1)でエラー防止に心がけ、それでも起こるエラーは2)で相互監視に
より早期に発見して被害が起きないようにし、そうした監視の目を逃れ
て起きた被害に対しては3)で被害を和らげるようにします。

(以下、長い説明。ここまでで理解できた人は読む必要はありません)

1)エラーを起こさないように注意する

●アボイド・エラー(Avoid Error)

    モチベーションを高めて個人の集中力を増し鍛錬すること以外に、チー
    ム(システム)としてエラーを起こさないようにする。

★方法

○《予見》:「事例の研究」からエラーを予見することで気を付ける。
○《予想》:「状況認識」からエラーを予想し、回避するようにする。
○《認識の共有》:チームのメンバー全員がエラーの予想を共有する。
 それによって、チームでエラーを回避に向かうことができる。
○《的確なcommunication》:誤解・勘違いを起こしやすい言動を避ける。
○《混乱を避ける》:部下などに、一度にたくさんのことを指示しない。
○《SOP》:手順の標準化とその遵守。

2)エラーの早期修正

●トラップ・エラー(Trap Error)

    例え、エラーが起きても実害を生じる前にエラーを見つけ修正する。個
    人の観察力を増すと共に、チームとして、エラーを早期に発見する観察
    力と修正する思考の柔軟性を身につける。ヒヤリ・ハット報告書などの
    利用も有益である。

★方法

○《観察と評価 Monitor & Evalution》:メンバー間でお互いの行動を、
 エラーが発生していないかという視点で、注意深く観察して評価する。
○《質問と照会 Assertion/Inquiry》:例え上司であっても、おかしい
 と思ったら勇気を持って質問や指摘をする。上司は部下からの指摘を受
 け止め、悪い部分は早期に修正する。
○《雰囲気づくり Group Climate》:リーダーは、部下や後輩がものを
 云いやすい雰囲気を作る。
○《リーダーシップ Leader Ship》リーダーは適切な健胃勾配を保つ。
 指示系統をハッキリさせておくことで、緊急時の混乱を回避する。
 (この辺は航空会社らしい表現ですが、病院でも採用できると思います)

3)エラーの最小化。被害を和らげる。

●ミチゲイト・エラー(Mitigate Error)

    これまでのエラーを防ぐ手だてをすり抜けて、エラーによる被害が発生
    した場合、エラーの連鎖から二次的、三次的エラーを起こして、致命的
    エラーとなる前に、被害を最小限に抑える。その為の方法。

    ★方法

○《ではどうするか Stress Management》:責任追及の前にエラーに対
 する対処を考える。
○《解決のための情報収集 Decision Making Use of Resources》:解決
 策を創造するために、周りの意見を聞く。
○《タスク配分 Workload Management Distribute》:緊急時には、メン
 バー間の適切な仕事量の分配が有益。
○《反省 Critique》:このエラーを糧に、二度と同じエラーを起こさない。

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結局の所、まとめると普通のことになってしまうのですが、

 エラーを起こさないように研修、研鑽する。
 エラーを一人で防ごうとしても限界がある。
 エラーを起こしても早期に発見するように、チームで体勢を作る。
 エラーの早期発見にはチームの民主的な雰囲気が重要。
 エラーから被害が発生したとしても、最小限に抑えるようにする。
 そして、同じエラーを起こさないように徹底的に調査し、反省する。

というような所でしょうか。

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