◎裁判所・判決年月日 東京高裁平成4年12月18日判決
◎事件名 予防接種ワクチン禍集団訴訟
◎要旨(事実と判旨の概要)
予防接種法(昭和五一年改正前)の規定または国の行政指導に基づき自治体が勧奨した予防接種(インフルエンザワクチン、種痘、ポリオ生ワクチン、百日咳ワクチン、日本脳炎ワクチン、腸チフス・パラチフスワクチン、百日咳・ジフテリア二種混合ワクチン、百日咳・ジフテリア・破傷風三種混合ワクチン等)を受けた結果、副作用により障害または死亡するに至った被害児とその両親らが原告(被害児62名中訴提起前の死亡被害児を除く36名、その両親らの家族124名、合計160名)となり、民法上の債務不履行責任、国家賠償法上の責任または憲法上の損失補償責任を追及するとして、国を被告として損害賠償請求訴訟を昭和47年3月から六次にわたって提起した。第1審判決は憲法の損失補償の規定を直接適用して被害者救済を図ったのに対する控訴審である。
まず損失補償責任については、財産的損害に限られるという理由で、予防接種による健康被害に適用されないとした。
しかしながら損害賠償責任については、第1審の因果関係認定を是認し、加えて国の過失も認めて認容した。
◎コメント
本判決は憲法29条3項の直接適用により、過失が認められないケースにおける被害者救済を判示した極めて注目される判決である。
◎出典
判例時報1445号3頁、判例タイムズ807号78頁、高民集45巻3号212頁、訟務月報40巻1号1頁、東高民時報43巻1〜12号85頁
その他の情報
事件番号 東京高裁昭59(ネ)1517号・同60(ネ)2887号
第一審判決 東京地裁昭和59年5月18日判決
上告審判決 最高裁平成10年6月12日判決